性の裁判記録

大野文雄, 矢野正則 共著

『性の裁判記録』

酒井書店

1962. 

国立国会図書館デジタルコレクション 

https://dl.ndl.go.jp/pid/3000906

 

 

目次
第一章 姦通
一、 如何なる場合に慰藉料が請求できるや/p1
1、 妾が姦通したるとき/p1
貞淑な妻を強引によろめかせたことを理由としてその姦夫たる長男の家庭教師に対する慰藉料請求ならびに謝罪広告を請求した事案の和解条項/p13
大学教授夫人たる妻をよろめかせた上長女をいたずらされたことを理由としてその姦夫たる下宿中の嘗ての教え子に対し被害者父子が精神的損害を主張した事案/p15
夫が入院中家財と共に妻を奪ったことを理由としてその姦夫に対し精神的損害を主張した事案/p17
金借に行った妻を誘惑して情を通じたことを理由としてその姦夫たる金融業者に対し精神的損害を主張した事案/p17
妻との情交関係を断つ旨誓約をしながらその後尚醜関係を継続しているとしてその姦夫に対し精神的損害を主張した事案/p18
旅館の女将をしている妻を寝取ったことを理由としてその姦夫たる馴染客に対し精神的損害を主張した事案/p19
飲食店の女将をしている妻を寝取ったことを理由としてその姦夫たる馴染客に対し精神的損害を主張した事案/p20
貞淑な妻を強引によろめかせたことを理由としてその姦夫たるPTA副会長に対し精神的損害を主張して慰藉科ならび謝罪広告を求めた事案/p25
親殺しに対し執行猶予を言い渡した事例/p30
料理屋の仲居をしている妻が客を喰わえ込んだことを理由として妻に対し離婚ならびに親権者指定、慰藉料を請求し、姦夫に対し夫権にもとづく慰藉料を請求いた事案/p40
情夫との情交関係を断つ旨誓約しながらその後尚醜関係を継続しているとして妻に離婚ならびに親権者指定・慰藉料を請求し、姦夫に対し夫権にもとづき慰藉料を請求した事案/p45
夫に生殖能力なきため子供欲しさからとは言いながら他の男性と情交関係を結んだことは許せないとして妻に精神的損害を主張した事案/p46
協議離婚をするに至ったバーのマダムをしている妻が駐留軍黒人兵の客を喰え込んだことを理由とし、妻に対し精神的損害を主張いた事案/p48
夫権にもとづき内縁の妻(元看護婦)に姦通(結婚前から関係あり)の相手方(元妻の勤務先なる病院の院長)に対し慰藉料を請求した事案/p50
2、夫が家を出て他女と内縁関係を結び妻をして離婚のやむなきに至らしめた場合/p51
3、夫の不義と妻の姦通が競合したる場合は如何/p51
4、その他/p57
養親子間の不倫な情交関係をカバーするため養母が嫌がる養子に原告を無理強いに結婚させ、結婚後も尚原告の眼を盗んでは不倫な情交関係を続け、原告をして遂に結婚を断念せしめるに至らしめたとして養母に対し慰藉料を請求した事案/p62
女出入り劇しく他女を家に入れ三人同褥して情婦との性交を見せつけ「之が嫌なら出て行け」と殴る蹴るの暴行を加えたとして夫に対し慰藉料を請求した事案/p77
内縁の夫婦の場合は如何/p80
他人の妻と姦理の目的を以てする住居侵入罪の成立/p82
二、慰藉料額の算定につき参酌すべき事項/p87
1、原告側/p87
2、被告側/p87
三、慰藉料の額/p87
1、日本古代の姦通料/p87
2、戦前の姦通料/p87
3、戦後の姦通料/p88
第二章 貞操侵害
一、貞操の保護と慰藉料算定の基礎/p93
1、如何なる場合に慰藉料が請求できるや/p93
隣家に居住する被告が十六歳三カ月の原告の手を握って無理矢理工場に連れ込み工場内においてあった椅子の上に自ら坐りその膝の上に原告を乗せて強姦し膣入口処女膜に裂傷を負わせたとして慰藉料並治療費等を請求した事案/p110
被告が他に通行人のないのを奇貨として原告を強姦しようと挑みかかり、その抵抗を受けるや原告の首を締めて道路脇の江川に投げつけ、頭蓋内出血による後遺症及び左眼外旋神経不全麻痺全治四ヵ月の傷害を負わせられたとして慰藉料ならびに治療費および行商によるうべかりし利益の喪失に対する損害賠償を請求した事案/p147
殺人罪につき刑の執行を猶予するのを相当とした一事例―「日活国際会館愛人殺人事件」の一審判決―/p152
妻子あることを祕して結婚すると偽り未年者(十九歳)たるバスガールの原告と情交関係を続け、その後妻子あること発覚するや、妻子と離別しても結婚するから一緒に逃げてくれと駆落費用まで出さしながら一片の書信を以て絶縁を申し渡したのは貞操侵害であるとして慰藉料並駆落費用償還請求をした事案/p160
被告家に女中として住込中被告から求婚されたが身分や被告の父の反対を慮り之を拒絶するも被告に強っての願いに之を承諾し身体をも許したのに被告は他女と結婚したるのみならず、そのことを秘して原告と同棲その貞操を侵害したとして慰藉料を請求した事案/p164
会社社長の養子たる被告から求婚されたが家運の没落により生活戦線に生きる一介の職業婦人たる自分の地位を比較すれば両者の身分地位の甚だしき不均衡による劣等感並びに引いては之が原告をして将来婚姻の破局に至るべきをおそれて、一面に於ては結婚の喜びを待望しながらも他面に於て将来に於ける結婚の持続性について頗る危惧の感を持って居たため余り気が進まなかったが被告の強っての願いに承諾し身体も許し二人の子供迄設けたのに被告はその養父母に無理強いされた為とはいいながら他女と結婚したのは怪しからんとして慰藉料を請求した事案/p169
妻子あることを秘し仮祝言まで挙げて原告を膈まして貞操を蹂躪はたとして飲食店の手伝をしていた原告から馴染客の特殊飲食店の経営者に対し慰藉料を請求した事案/p171
満十七歳の見習社員をしていた原告にタンスやオーバ等を買与え、その母親を自己の経営する会社の雑役婦に雇入れ同母子を会社内に住まわせた上妻子あることを秘して結婚する旨偽り長期間情交関係を結んでその貞操を侵害したとして慰藉を請求した事案/p177
妻は所謂シロシロといわれる同性愛の耽溺者であり、原告とは結婚する意思なきにかかわらず結婚すると偽って大学を卒業するまでの学資と小遣を得んが為原告と同棲するに至ったが、その後も尚同性愛の度を増し、遂には原告の留守中に相手の女を家に引き入れ同衾の上不自然な性行為を敢えて為し、原告をして離別するのやむなきに至らしめたとして夫から学生妻を相手どり同棲中の妻の生活費、小遣、学資金および日用品購入金、結納金等の損害賠償並慰藉料を請求した事案/p182
被告は原告の結婚の対象として会社の自己の部下なる女事務員を原告に紹介しておきながら、同女を瞞して料亭に誘い込み酩酊させた上強姦しその後五ケ月間に亘って情交関係を続け原告をして遂に同女との結婚を断念せしめるに至らしめたとして姦夫に対し慰藉料を請求した事案/p207
二、 慰藉料算定の基礎/p213
三、慰藉料の額/p213
1、戦前の貞操料/p213
2、戦後の貞操料/p213
第三章 性的侮辱(名誉棄損)
一、 慰藉料算定の基礎/p218
二、実例/p218
性的侮辱料/p223
第四章 性器毀損/p235
陰茎、睾丸の損傷料/p235
手術の失敗料/p236
阿部定事件/p237
補遺
十四歳の少女を暴力を以って植木貯蔵小屋に連行し反抗を抑圧して輪姦したとして輪姦犯人並にその親権者に対して慰藉料を請求した事案/p278
心臓神経症の特別療法と称して入院中の妻を瞞して姦通した主治医に対し慰藉料を請求した事案/p286
強姦されたことが世間に知れわたっため、これを苦にして自殺した娘の両親から、強姦犯人並強姦されたことを言いふらした強姦犯人の友人を相手取った損害賠償並慰藉料を請求した事案/p289

 

 

 

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